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Enjoy Simple English 25/6/6(金)A Dead Secret 葬られた秘密


Enjoy Simple English 25/6/6(金)A Dead Secret 葬られた秘密
Enjoy Simple English の森崎ウィンです。毎週金曜日は、小泉八雲の作品をお送りしています。
今週は、”A Dead Secret” 葬られた秘密です。
亡くなった女性が毎晩のように自分の箪笥の前に立つのですが、そこには深いわけがありました。
figure 人影、mother-in-law 義理のお母さん、nod うなずく
それでは Let’s listen to the story together.


単語 / 熟語 発音記号 意味
merchant /ˈmɜːrtʃənt/ 商人
clever /ˈklɛvər/ 賢い、頭の良い
get a good education /ɡɛt ə ɡʊd ˌɛdʒʊˈkeɪʃən/ 良い教育を受ける
fall ill /fɔːl ɪl/ 病気になる
funeral /ˈfjuːnərəl/ 葬式
figure /ˈfɪɡjər/ 姿、形、人物像
tansu chest /ˈtɑːnsuː ʧɛst/ 箪笥(たんす)
disappear /ˌdɪsəˈpɪər/ 消える
belongings /bɪˈlɔːnɪŋz/ 持ち物、所持品
spirit /ˈspɪrɪt/ 霊、魂
chief priest /ʧiːf priːst/ 主任僧、住職
sundown /ˈsʌndaʊn/ 日没
hour of the rat /ˈaʊər əv ðə ræt/ 子の刻(夜中の12時頃)
holy words /ˈhoʊli wɜːrdz/ お経、聖なる言葉
concern /kənˈsɜːrn/ 気にかかる、関心がある
drawer /drɔːr/ 引き出し
remove /rɪˈmuːv/ 取り除く
trouble /ˈtrʌbəl/ 悩ませる、困らせる
burn /bɜːrn/ 焼く、燃やす
disappear /ˌdɪsəˈpɪər/ 姿を消す、消える
dawn /dɔːn/ 夜明け、明け方
love letter /lʌv ˈlɛtər/ ラブレター、恋文
the secret died with him /ðə ˈsiːkrɪt daɪd wɪð hɪm/ その秘密は彼と共に消えた(秘密は誰にも明かされなかった)

昔々、丹波地方に裕福な商人が住んでいて、美しくて賢い娘「お園」がいました。
お園は良い教育を受けるため、京都に送られました。
彼女が家に戻ると、結婚して一人の子どもを授かりました。
夫婦は4年近く幸せに暮らしていましたが、お園が病に倒れて亡くなってしまいます。
葬儀の夜、小さな息子が「ママが帰ってきた」と言いました。
家族の何人かが2階のお園の部屋に行くと、亡くなったお園の姿が見えました。
彼女は箪笥の前に立っていて、頭と肩ははっきり見えましたが、腰から下は消えているようでした。
家族は怖くなりました。
お園の夫の母(姑)は言いました。
「お園はきっと自分の持ち物を見に戻ってきたのよ。死者の中にはそうする人もいるわ。
彼女の持ち物をお寺に持って行きましょう。そうすれば魂も安らぐでしょう。」
お園の持ち物をすべてお寺に運びましたが、その夜も、そして毎晩のように姿が現れました。
お園の姑は住職に相談しました。
住職は言いました。
「箪笥の中に、彼女が気にしているものがあるのでしょう。今夜、あなたの家に行って見てみましょう。」
日が沈んだ後、住職は家を訪れ、一人で部屋に泊まりました。
深夜、子の刻にお園の姿が突然現れました。
彼女の顔は悲しげで、目は箪笥に向けられていました。
住職はお経を唱え、こう呼びかけました。
「私はあなたを助けに来ました。箪笥の中に気になるものがあるのですか?」
影はうなずいたので、住職はすべての引き出しを開けましたが、中は空っぽでした。
それでも影は悲しげに箪笥を見つめていました。
「何を望んでいるのだろう」と住職は考えました。
引き出しの底には一枚の紙が敷かれていたので、住職は一枚ずつ紙を取り除いていきました。
そして最後の引き出しの底から、一通の手紙を見つけました。
「これがあなたを悩ませていたのですか?」
女性の影は住職の方に向きを変え、手紙を見つめました。
住職がたずねました。
「この手紙を燃やしましょうか?」
影は頭を下げ、住職はこう約束しました。
「今朝すぐにお寺で燃やします。私以外誰にも読ませません。」
影は微笑んで消えました。
夜明け近くになり、住職は心配していた家族に言いました。
「もう大丈夫です。彼女は二度と現れません。」
そして本当に現れませんでした。
手紙は燃やされました。それはお園が京都にいた頃にもらった恋文でした。
その中身を知っていたのは住職だけで、その秘密は彼と共に消えました。

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