Enjoy Simple English 25/4/4(金)The Story of O-Tei お貞のおはなし
Stories Lafcadio HearnCollected around Japan
小泉八雲が愛した日本の民話
Hi everyone. It’s Friday. 森崎ウィンです。Enjoy Simple English.
今年度、毎週金曜日にお送りするのは、Stories Lafcadio Hearn Collected Around Japan.
ラフカディオ・ハーン、日本名、小泉八雲は、明治時代、日本の民話を英語にまとめて、世界に広めました。
彼の有名な作品の一つが「怪談」です。
今日はその怪談から「お貞の噺」をお送りします。病に倒れ、自らの死を悟ったお貞は、婚約者に或る約束をします。それでは、聴いてみましょう。
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a long time ago ə lɔːŋ taɪm əˈɡoʊ ずっと昔に
town taʊn 町
fiancée fiˈɒnseɪ 婚約者(女性)
sick sɪk 病気の
die daɪ 死ぬ
gods ɡɒdz 神々
alive əˈlaɪv 生きている
marry ˈmæri 結婚する
sign saɪn しるし、合図
wooden tablet ˈwʊdn ˈtæblɪt 木の板(位牌)
altar ˈɔːltər 祭壇、仏壇
pray preɪ 祈る
forget fərˈɡɛt 忘れる
sadness ˈsædnəs 悲しみ
journey ˈdʒɜːrni 旅
inn ɪn 宿屋、旅館
fiancé fiˈɒnseɪ 婚約者(男性)
promise ˈprɒmɪs 約束する
mysteriously mɪˈstɪəriəsli 不思議に
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よかったあ!再び出会えて本当に良かったなんかすごく感動しました。さて、小泉八雲の妻セツをモデルにした連続テレビ小説「ばけばけ」がですね、この秋から放送されます。一足先に八雲の作品を聴いておけばドラマも倍楽しめるはず。みんなで一緒に八雲の世界を楽しみましょう!それでは、
Have a wonderful weekend!
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昔々、越前地方の新潟という町に長尾長生という男がいた。彼にはお貞という婚約者がいたが、彼女は15歳のときに重い病にかかってしまった。
お貞は自分が死ぬことを悟り、長尾を呼び寄せた。
「長尾様、私は幼いころからあなたの婚約者でしたが、もうすぐ死にます。神々のご意志ですから、私は怖くありません。また会えると信じています。」
「もちろんです。私が死んだら、また会えます。」
「いいえ。あなたが本当に望むなら、生きている間に会えます。私はすぐに生まれ変わりますが、結婚できる年齢になるまで15年か16年待たなければなりません。あなたは今19歳ですね。」
「喜んで待ちますよ。でも、どうすればあなたと分かるでしょうか? 何かしるしをくれますか?」
「それはできません。でも、私は必ず戻って来られると信じています。」
そう言って、お貞は目を閉じ、そのまま息を引き取った。
長尾はお貞を深く愛していたので、彼女の名前を刻んだ木の板を作った。そして、彼女が生まれ変わって戻ってきたら結婚すると誓う手紙を書き、それらを仏壇に納めて毎日祈りを捧げた。
しかし、長尾の両親は彼に別の女性と結婚させた。それでも長尾はお貞を忘れなかったが、やがて彼女の記憶は次第に薄れていった。
年月が流れ、長尾は両親、妻、そして唯一の子供を亡くし、ひとりぼっちになった。悲しみを忘れるために旅に出ることにした。
ある日、山あいの村の宿に泊まったとき、突然心が高鳴った。そこにいた少女の姿や動作が、お貞とそっくりだったのだ。
長尾は声をかけた。「すみません、あなたはどこから来たのですか? そして、お名前は?」
少女はすぐにお貞と同じ声で答えた。「私の名前はお貞。あなたの婚約者です。私は新潟で死にました。でも、あなたは『戻ってきたら結婚する』と手紙に書きましたね。あなたはその手紙と、私の名前を書いた木の板を仏壇に入れました。それがあったから、私は戻ってこられたのです。」
そう言うと、少女は目を閉じ、その場に倒れた。
長尾は彼女と結婚し、二人は幸せに暮らした。しかし、彼女が話した前世の記憶は、初めて出会ったそのときだけに現れ、それ以降は消えてしまったのだった。