ブログ記事より抜粋
Enjoy Simple English 25/8/22(金) Story of a Fly Part One 蠅のはなし 前編
merchant /ˈmɜːrtʃənt/ 商人
maidservant /ˈmeɪdˌsɜːrvənt/ 女中、召使い
area /ˈɛriə/ 地域、地方
treat kindly /triːt ˈkaɪndli/ 優しく扱う
truly /ˈtruːli/ 本当に
dress nicely /drɛs ˈnaɪsli/ きれいに着飾る
holiday /ˈhɑːləˌdeɪ/ 休み、休日
working dress /ˈwɜːrkɪŋ drɛs/ 作業着、仕事用の服
robe /roʊb/ 衣服、着物、長衣
embarrassed /ɪmˈbærəst/ 恥ずかしい、困惑した
respectfully /rɪˈspɛktfəli/ 丁重に、敬意をもって
responsibility /rɪˌspɑːnsəˈbɪləti/ 責任
Buddhist ceremonies /ˈbʊdɪst ˈsɛrəˌmoʊniz/ 仏教の法要
Ihai tablets /iː-haɪ ˈtæbləts/ 位牌
temple /ˈtɛmpəl/ 寺
complete /kəmˈpliːt/ 完成する、果たす
touched /tʌtʃt/ 心を動かされた
conversation /ˌkɑːnvərˈseɪʃən/ 会話
create /kriˈeɪt/ 作る、創造する
savings /ˈseɪvɪŋz/ 貯金
sick /sɪk/ 病気の
ill /ɪl/ 病気の、具合の悪い
death /dɛθ/ 死
fly /flaɪ/ ハエ
約200年前、京都に飾屋久兵衛(かざりやきゅうべえ)という商人が住んでいました。彼の店は島原道の少し南、寺町通という通りにありました。久兵衛には、若狭の出身で玉(たま)という名前の女中がいました。
玉は久兵衛とその妻から親切に扱われ、彼女もまた本当に二人を慕っていました。しかし、他の娘たちのようにきれいな着物を着ることはありませんでした。休みの日でも、与えられた美しい着物がいくつもあったのに、いつも仕事着のまま出かけていたのです。
久兵衛のもとで働いて5年ほど経ったある日、彼は玉に尋ねました。
「どうしていつもきれいに着飾ろうとしないのだ?」
玉は恥ずかしそうに顔を赤らめ、丁重に答えました。
「私がとても幼い時に両親は亡くなりました。私は一人っ子でしたので、両親のために仏事を行う責任がありました。しかし、その時は十分なお金がありませんでした。ですから、寺に位牌を置き、法要を行えるようになるまでお金を貯めようと心に決めたのです。そのために衣服にはお金を使わず、必死に貯めてきました。もしかしたら頑張りすぎたかもしれません。でも、すでに100匁の銀を貯めることができました。これで娘としての責任を果たせます。これからは、もっとよい服装でお仕えしたいと思います。どうか今までの粗末な格好をお許しください。」
久兵衛は玉の言葉に心を打たれ、優しく言いました。
「好きなように装いなさい。親のために善いことをしているのだ。お前は立派な娘だ。」
この会話のすぐ後、玉は両親のために浄楽寺に位牌を納め、特別な法要を行うことができました。その費用に70匁を使い、残りの30匁は久兵衛の妻に預けました。
ところが、その年の冬の初め、玉は突然病気になり、しばらく寝込んだ後、元禄15年正月11日に亡くなってしまいました。久兵衛夫婦は深い悲しみに包まれました。
そして、その10日後、とても大きな一匹のハエが家に飛び込んできたのです。